ミラーボールの小さな鍵 [続・ニューヨーク日記]
朝早く起きて、地下鉄を乗り継ぎ、エアトレインに乗ってJFK空港へ。
今回泊まったドミトリーは楽しかったな。
重い荷物を担いでエアトレインを降りると虹が出ていた。
230ドルの夜を越えて [続・ニューヨーク日記]
雨が降ったり止んだりの空。
ソーホーで買い物をしたりレコード屋に行ったりした。
今夜はニューヨーク最後の夜。
雨上がりの夜のミッドタウンを歩くんだ。歩くんだよ。
空にはもやがかかって摩天楼が霞んでいる。
何度も直線を歩き、いくつもの角を曲がって
もやに霞むグランドセントラルターミナルを見に行く。
少し寒いと街の明かりが優しく見えるから好きだ。
明かりの灯ったグランドセントラルターミナルを見ながら、
「G線上のアリア」の美しさを考えた。
12月の匂いが少しだけ頭をかすめたよ。
行き止まりの夜を行く [続・ニューヨーク日記]
ニューヨークに着いて初めての雨。
傘を買おうと思ったんだけれど、なかなかいいのが見つからなくて、
雨の中探し回って、結局ピンク色の傘を買った。
ピンクの傘の事は何度か歌詞にしているからね。
アスタープレイスで友達と待ち合わせをしていたからピンクの傘を差してテクテク歩く。
こうしてピンクの傘を差して歩くのは人生で初めての出来事。
たまにショーウィンドウに写る自分のその姿を見るとやっぱりおかしいなと思う。
ピンクの傘を差して歩くって事はこういう事なのかと思う。
友達に会うとやっぱりおかしいと言われた。
そりゃそうだ。自分でもおかしいと思いながら差していた。
で、おかしなピンクの傘を差した僕たちは、タイムズスクエアのハードロックカフェへ。
そこにはピンクの傘なんかよりも、もっとおかしな格好をした、
オジーオズボーンやフレディマーキュリーの写真が飾ってあった。
そのあとディクテーターズのボーカルの人が経営してるという、
イーストビレッジのはずれにあるバーへ行ったんだよ。
ディクテーターズの人はいなかったけれど、
壁には1976年~78年頃のロンドンやニューヨークのパンクロッカー達の写真が沢山。
その中で見つけた、見たことの無いジョニーロットンやジョーストラマーの写真。
やっぱりジョニーロットンは哲学者のようで美しかったし、
ジョーストラマーの目は強くて優しかった。
イーストビレッジはCBGBがあった街。
世界で初めてパンクロックの煙が上がった街だ。
街には今でも1976年と同じ冷たい雨がどしゃ降りで降り注いでいる。
地下室に潜り込み孤独と戦い、自分の手で未来を切り開く。
78年までのパンクロックはどこにも行けなかった若者達の、その戦いの歴史だ。
イーストビレッジは今も行き止まりで土砂降りの吹き溜まりのまま。
知ってるかい?
だからピンクの傘で街を行くんだよ。
地下鉄7番ライン、斜め上の空 [続・ニューヨーク日記]
午前のアッパーイーストサイドを散歩したあと、
地下鉄7番ラインに揺られクイーンズへ行った。
最果ての駅、チャイナタウン「フラッシング」。
商店街の看板や文字はほぼ全てが中国語で埋め尽くされている。
鼻をつく生活の匂いと、飛び交う中国語。
道路標識の文字だけがここはアメリカだと教えてくれる。
地下鉄7番ラインは移民街がほとんどらしい。
たくさん歩いたから記憶が曖昧なんだけど、他にもジャクソンハイツとアストリア、
あと確かエルムハーストにも行った。
夜にはマンハッタンのチャイナタウンやトライベッカ、リトルイタリーを歩く。
ニューヨークの街はネオン看板がきらめく夜ともなると、
その代わりに入りきらなくなったキャピタリズムの残りカスが
ゴミ箱から溢れ返るように出来ている。
ネオンは煌々と。
地下鉄はブルースを加速させながらハーレムへと。
僕は500のクアーズを。
ウィリアムズバーグの青 [続・ニューヨーク日記]
ブルックリンのベッドフォードアベニューへ行こうと
地下鉄Lラインに乗り換えようとしたんだけれど、休日ダイヤらしくLラインが動いていない。
仕方ないんで、違うラインで遠回りして行こうとテクテク歩いていると、
大きいフリーマーケットを発見。
安レコードの山の中に東京じゃ何千円するレコードが5ドルとか6ドルで売られてた!
Lライン止まっててラッキー!
でも東京が高いだけで、ニューヨークじゃ珍しくもなんともないレコードなんだろーな。
東京じゃめったに見ない、ホリー&ザ・イタリアンズとかナンシーシナトラのBOOTS、
あとデイブクラークファイブの1stとかマンフレッドマンの1stとか、その他にも何枚か買ったよ。
レコード抱えて遠回りして、クイーンズからGラインでブルックリンへと。
午後の公園を抜けてベッドフォードアベニューまで。
休日の晴れたベッドフォードアベニューでTシャツと黒い革靴とレコードをたくさん買う。
ゆっくりと。
これで外で缶ビールを1本飲めたら最高なのにね。
20と2ドル、86のフロア、500の缶ビール [続・ニューヨーク日記]
この日はフリーマーケットへ行ったよ。
路上で歌いたかったから安いアコギを探そうと思ってね。
ヘルズキッチン・フレアマーケットへ。
だけどいいアコギは見つけられなかった。
ギター自体全然売ってなくてさ。
寂しそうにガットギターがひとつあっただけだった。
そんで、ロウアーイーストサイドへ。
この辺りは楽器屋や古着屋、マイナーブランドの店なんかがあっていい街だったな。
道を挟んで向かいにはコリアンタウンがあって、生活の匂いが流れ込んでくる。
そのあとミートパッキング・ディストリクトへ行って、ミッドタウンへ戻り、
エンパイアステートビルに登って、二度目の摩天楼を見た。
ねえ、週の終わりのタイムズスクエアはまるでごちゃ混ぜのパスタのよう。
何を選ぶかは自分で決めるって、つまりはそんな話。
迷うと埒が明かないが、はっきりしてるならごく簡単な迷路。
これは1993年のメッセージへの返答なんだ。
僕はいつでも真っ直ぐ歩けるよ
ブリーカーストリートの角を曲がって [続・ニューヨーク日記]
この日も早起きして、二年前に来た時には行けなかった場所、
ダコタハウスとストロベリーフィールズへ行ったんだ。
ストロベリーフィールズの真ん中に重々しく刻まれたIMAGINEの文字と、
その約10メートル手前の露天に並ぶ、ニセモノのジョンレノングッズ。
缶バッジは三つで10ドルだったかな?
うん、僕はどっちも好きだ。両方無きゃ駄目なんだよ。
シリアスなメッセージと、どーしようもないバカさ加減。
ロックンロールには両方必要なんだ。
晴天のセントラルパークでそんな事を思った。
それでこの日はもう思い出せないくらいとにかく歩いた。
アッパーウエストサイド、グラマシー、イーストビレッジ、グリニッチビレッジ。
レコード屋もたくさん行った。
ブリーカーストリートの角を右に曲がったバーでチキンとビールを注文して、
それからタイムズスクエアへ行って、夜のミッドタウンを歩き回る。
夜のミッドタウンを歩いていると、ついに夜をつかまえられそうな気がしてくる。
もうずっと子供の頃から思い描いていた、
だけどどこにいても出会えなかった夜の真ん中。
僕が子供の頃に思い描いていた夜の姿は、ニューヨークのミッドタウンのこんな感じだったんだ。
ひとり夜の真ん中を歩いた。
頭の中にストロークスが、サムデイとラストナイトが流れたよ。
ブルックリン橋の上、揺れるキャピタリズム [続・ニューヨーク日記]
この日はチェルシーの楽器屋に行ったのかな。
記憶が曖昧なんだけれど。
ハーレム散歩して、チェルシーからソーホーへ行って、
グリニッチビレッジやイーストビレッジを歩いたと思う。
うん、確かそうだ。
イーストビレッジに住んでいる友達に会ったんだ。
で、夜はね、ブルックリンブリッジを歩いて渡ったんだよ。
橋の上に吹く風が気持ちよかった。
前の日も朝から夜中までずっと歩いていたし、
この日もニューヨークの街を一日中歩き回ってハーレムのドミトリーに戻った。
旅特有のこの疲労感がとても心地いい。
ビールを飲んで、ベッドに沈んだんだ。
6500マイルの彼方 [続・ニューヨーク日記]
朝早くフライトの飛行機だから前の夜から空港に行ってさ、空港でゆっくり過ごしてた。
やっぱひとり旅はいいね。
空港にいる時から、空港に向かう電車に乗ってる時から、
駅に向かう道をテクテク歩いている時から、ドキドキしてワクワクする。
約12時間飛行機に揺られて、6500マイルの彼方、ニューヨークJFK空港まで。
青い空をバスに揺られて、朝のマンハッタン、グランドセントラルターミナルまで。
ドーナツとカフェオレでミッドタウンを歩く。
朝の光がとても綺麗だった。
タイムズスクエアで光るネオン看板。
きらめくビルディング。
その隣でミルクコーヒーのプラスチック容器がゴミ箱から溢れ返っている。
今夜はハーレムのど真ん中で眠るんだよ。
おやすみなさい。
夜の紙飛行機 [続・ニューヨーク日記]
ひとりでね。
今は空港のロビーでビールを飲んでいる。
そしてG線上のアリアが頭の中で流れている。
大好きな曲だ。
行ってきます。





